妄想と現実のあいだ

とりとめもない言葉と写真、ときどき絵

希死燃料

火葬場から偶然発見された、新エネルギー。

自殺者から再現性を確認したのを皮切りに、生きている人間の希死念慮から取り出す技術が確立し希死燃料と命名された。

最初は全身タイツの装置を身にまとい希死燃料を取り出していたが、最新の装置では物理的な接触なしに希死燃料をとりだすことができるまでになった。

装置をベッドのシーツとして敷いて、寝て起きれば希死燃料の取り出しが完了している。

健康な人でも希死念慮はあるもので、一晩でスマホの充電ができるくらいのエネルギーをとりだすことができる。

10人に1人くらいは希死念慮が強く、生活に必要なエネルギーを希死燃料だけで賄えるオール希死燃料生活が可能だ。

更に希死念慮が多ければ政府が希死燃料を買い取ってくれて、不労所得を確保できる。

希死念慮が強ければ便利になりやがて、希死念慮は弱くなる、そうなると不便になり希死念慮が増える。

感情に振り回されるようになり疲弊してくる。

もう、動く気力もない。

しかし、死にたいと思うことはない。